妊活・不妊の方の生活で気をつけること
近年、出生率は低下の傾向にあるのに加えて、新型コロナウィルスの影響で2020年はさらに拍車がかかったという統計が出たようです。
そうはいっても子供が欲しいのになかなか授からない、また授かったものの体調がすぐれないという方は多いと思います。
相談にあたっていて妊娠を難しくしていると感じる原因は様々あります。
・晩婚のため妊娠を意識するのがどうしても遅くなる。
・仕事などで忙しく心身共に疲労している。
・食事に無頓着で栄養が不足している。または食べていると思っていても足りていない。
・ストレスが多くて気持ちが不安定。
など現代の女性が直面する問題は多岐に渡っています。
また、妊娠したもののつわりがひどくて大変な思いをした、母乳が出にくい、または出すぎる、うまく断乳できない、乳腺のつまりなど妊娠前後にまつわるお悩みは尽きません。
これらの中で、これから妊活を、また現在妊活中の方に、妊娠前に知っておいたほうが良いと思うことを書いてみたいと思います。
目次
- ○ 妊娠前の生活で気をつけること
- ・冷えを予防しよう
- ・血液を消耗する生活習慣を見直しましょう
- ○ 体にとり入れるものに気を配ろう
- ・妊娠に必要なミネラルの摂取を心がけましょう
- ・添加物に気をつけよう
- ・妊娠に必要なビタミン・ミネラルを補給するには
- ○ つわりを予防しよう
- ○ まとめ
妊娠前の生活で気をつけること
冷えを予防しよう
冷えに悩む女性は多いです。
女性は下着や服装で体をしめつけたり、毎月生理で血液を消耗しますので、血行不良や血液不足になりやすいために冷えやすいのです。
若い頃はおしゃれのためなら薄着もいとわないという方でも、だんだんと冷えに悩まされるようになります。
思春期から20代に、寒くても我慢して薄着を通し、生理のトラブルなど体調を悪化させている方も多いようです。
妊活を始めようとする人は、まず第一に冷えていないか自分でチェックしましょう。
冷えは薄着だけではありません。食べるものでも知らず知らず体を冷やしてしまっていることもあります。
真冬にアイスクリームを食べたり、生理中に冷たいものをとったりしないようにするのはもちろん、暑い時期でも冷たい飲み物やアイスクリームの食べ過ぎには注意しましょう。
冷え症状のひどい人は、夏でも冷房や冷たい飲食物で冷えるのです。
冷えを改善するのにまず大事なことは、胃腸を温めることです。
普段からショウガ・ネギ・ニラ・ニンニク・シナモンなど温めるものを料理に常用するようにしましょう。
体を冷やすというのはすべての不調の原因になります。
自分でできることは改善して、それでも足りない場合は漢方薬の出番です。
トウキやカンキョウ・ケイシの入った漢方で体を温めましょう。
血液を消耗する生活習慣を見直しましょう
女性は「血」を消耗させないことが重要です。
現代の生活は「血」を消耗する要素がたくさんあります。
スマホやパソコンをかなりの時間使っている人が多いと思いますが、目を酷使することで「血」が消耗するのです。
そのうえ就寝時間が遅いと、「血」が補われません。同時に脳にストレスがかかるため、正常なホルモンの指令にも影響が出てくる可能性もあります。
妊娠のためには
・電子機器の画面を見る時間をなるべく少なくする。
・夜は10時就寝を目標にする。
・タンパク質と色の濃い野菜や果物をしっかりとる。
・入浴は湯船につかって体を温めリラックスさせる。
を心がけましょう。
質の良い睡眠がとれていないと感じる方は、まず寝る前に蜂蜜をティースプーン1杯なめて寝てみてください。
あるいは血液を補い睡眠の質を高める漢方薬である「心脾顆粒」が安眠に導いてくれます。
体にとり入れるものに気を配ろう
妊娠に必要なミネラルの摂取を心がけましょう
不妊カウンセリングで食事について質問すると、大抵の方は栄養が足りていません。
夕食はタンパク質、野菜、炭水化物と比較的バランスよくとっている方が多いのですが、朝・昼はあまり考えずに空腹を満たすだけというような食事の方も結構多いのです。
新しい命を授かるというのはとてもエネルギーのいることなのです。
でも、疑問に思うことはありませんか。
昔のほうが栄養もそんなに良くないのに子だくさんの方は多かったですよね。
現代のほうが食べるものも豊富で困ることもそれほどないのに、なぜか原因不明の不妊の方が多い。
ここに現代の食品の問題があるのです。
昔は畑の土もミネラルを豊富に含んでいました。そしてシンプルな食事で添加物も少なく、食品のミネラルを壊すことが少なかったのです。
ミネラルとはビタミンと並んで人間の体そのものを作る構成素です。
特に意識していただきたいのは鉄、亜鉛をはじめとする微量ミネラルです。
女性は月経で血液が失われますので、鉄(漢方では血)が不足しがちです。
母乳は白い血液ともいわれています。産後にしっかりおっぱいを出すためにも、鉄(血)をしっかり補っておきましょう。
亜鉛は男女とも生殖にかかわる臓器には大量に必要とされます。性ホルモンの材料です。細胞の分化・成長を促進し、漢方では生命力の源の「腎精」にあたります。
亜鉛が不足すると不妊になりやすく、奇形や流産しやすいという報告もあります。
現代の普通の食事では、野菜に含まれるビタミンもミネラルの量もかなり少なくなっています。亜鉛に至っては昔の半分くらいしか摂れていません。
妊活している女性は鉄と亜鉛を、男性は亜鉛を多く含んだ食品を摂取することをお勧めします。
亜鉛を補給するのにお勧めの食材はカキです。
カキは亜鉛をはじめとしたミネラルが豊富に含まれていますので、積極的にとっていただくことをお勧めします。
添加物に気をつけよう
ミネラルとも関連するのですが、食品添加物も注意していただきたいことの一つです。
「リン酸塩」という添加物があります。
これはハム・ソーセージ、練り物、柔らかく加工した肉などによく使用されているものですが、これが食品のミネラルを吸着し、体の中のミネラルをも吸収して便で出してしまうという事実をご存知でしょうか。
体に入るミネラルを阻害し、かつ体のなかにあるミネラルまでも吸着して排出しているのです。結果的にミネラル不足になっているのが現代人なのです。
新しい生命を迎える準備として、なるべく添加物の少ない食品を選んでいただくようにしましょう。
摂取するミネラルが不足しているのに加えて、少ないながらも取り入れたミネラルを排出してしまったら、圧倒的に不足してしまうのは明らかです。
妊娠に必要なビタミン・ミネラルを補給するには
食事でビタミン・ミネラルをしっかりとるには、良質なたんぱく質(肉・魚・卵・発酵大豆)と、色の濃い野菜や果物を十分にとることです。
それが食事で必要量とれていなければ、何か工夫しなければなりません。
ミネラル不足を補うための工夫の一つとして、天然だしを使うようにしましょう。
お勧めは煮干し・あご・昆布をミキサーで粉末にし、だしとしてお味噌汁にはもちろん、様々な料理にふりかけてとり入れるようにしましょう。
これだけでもかなりのミネラルが摂取できるはずです。この手間が割けない方は、カキを濃縮した補助食品がありますのでそれをお使いください。
ビタミンは特に葉酸とB6が不足しやすいといわれています。単独のサプリメントでとるよりは、食品からとるほうが吸収率もよく安全です。
バイオリンクという国産のクロレラは、葉酸やビタミンB6はもちろん、すべての栄養を網羅して、天然のマルチビタミンのような働きをしてくれるので吸収が良くお勧めです。
一物全体食でもあります。
バイオリンクは体の中に入った毒素を解毒しながら栄養補給してくれますので、体作りには最適です。
つわりを予防しよう
妊娠して喜びにひたる間もなく、つわりに苦しむ方も多いと思います。
つわりがひどい人の特徴は、体に「痰」がたまっているタイプの方です。
舌についている舌苔という白い苔が厚くついている人がそうです。
いわゆる、吐き気、気持ちが悪いというつわりのかたです。
吐き気はそれほどでもないけれど、体がだるい眠いという方は「気・血」不足のタイプです。
当然両方の症状があるかたもいます。
つわりは病気ではないとはいえ、本人にしてみればかなりつらいものです。
つわりになってから漢方薬をとりいれたいといって来られる方も多いのですが、できればつわりがひどくならないように妊娠前から体を整えておかれたほうがよいでしょう。
それには、今まで述べてきたことを実践することです。
そのうえで、つわりになってしまったら、
「痰」タイプの方は香砂六君子湯が代表的な処方です。
「気血」不足タイプの方は帰脾湯などがおすすめです。
新しい命が芽生えたことによって体はストレスを感じ、余計に気分が悪くなります。
陳皮・シソなど香りのよい生薬の入った香蘇散もよいでしょう。
絞ったショウガ・すだち・黒糖の入った生姜シロップもお勧めです。
まとめ
なかなか授からない人にとっては、自分の何が悪いのだろうと思い悩んでしまうことが多いかと思います。
原因がはっきりしている方は、それにピントを当てて漢方薬を使用しますが、原因不明の方は、まずは栄養補給と生活習慣の見直しから初めてみるとよいでしょう。
おそらく多くの方が栄養が足りていないことに気づいていません。
不妊治療をされている方も、これから妊活を考えている方もぜひプラスワンの栄養補給を試みてください。