感情と健康の関係
人にはそれぞれ感じやすい感情というものがあります。
イライラしやすい人、悲しみを感じやすい人、いつも物憂げな人など周りを見回せば、極端でなくても傾向としてあることは感じますよね。
私が最初中医学を学んだ時、感情までもが健康を左右するというのが驚きでしたが、同時に面白さと奥深さを感じました。
感情が動くから症状が出るのでしょうか、症状のせいでそんな感情になるのでしょうか。
答えは両方ともあり得るということです。
いずれにしても、なかなか症状が改善しない場合、自分では意識していなくても、深く内観してみるとそんな感情が残っていたなと認められたら一歩前進です。
不調の原因は、もしかしたらこだわりや思い込みなどから起因していることもありうるのです。
目次
人は環境に左右される
体の調子が良い時というのは、少し感情がゆさぶられたからといって病気にまで進みません。
しかし、予期しない激しい外的な刺激を感じたり、長期に及んだストレスによって過度に情緒が乱れた状態が持続した時は、精神的に不安定になったり、不眠、胃腸障害などに現れるというのを経験したことのある方は多いはずです。
私たちの体は、自ずと周りの環境(エネルギー)に影響され続けているのです。
そのことを知ったうえで、自分にできることを試みて、心身の健康を保たなければなりません。
敏感であるというのは一つの才能ですが、大事なのはすべてをスポンジのように吸いすぎないことと、自分自身の許容範囲を知ることです。
もう限界というときは、遠慮せずにその環境をそっと離れるか、誰かに助けを求めましょう。
中医学では喜・怒・憂・思・悲・恐・驚という七つの情が、外的な刺激に対応して生じた情緒反応を「七情」と呼んでいます。
過度の感情刺激によって現れやすい症状についてみていきましょう。
七情と症状との関係
①怒(肝):怒りは肝の気を引き上げ、血が気とともに上逆します。よく頭に血が上るという表現をします
が、そのような状態になると、めまい、頭痛、目の充血、耳鳴りなどが現れます。
②喜(心):喜びすぎると気が緩み、血管も緩みます。そうすると司令塔の「心」がしっかり役目を果たせな
くなり、手足に力が入らない、気力がなくなる、注意力散漫などの症状が引き起こされます。
③思(脾):思えば気が循環しなくなり、「脾」が傷ついて働きが弱まり、飲食物が停滞してさらに気の流れ
が滞ります。その結果、食欲減退、食後の胃のもたれ、胃部のつかえ、お腹の張りなどを感じや
すくなります。
④悲・憂(肺):過度の悲しみ・憂いば肺の気を消耗し、気弱となって意気消沈します。その結果、息切れ、 胸苦しい、手足に力がない、怠惰になるなどの症状がでます。
⑤恐(腎):恐れれば気が下がり、腎を傷つけて腎の気が機能しなくなります。その結果、大小便の失禁や不
安感などが生じます。
⑥驚(腎):驚けば気が乱れ、腎を傷つけて志が保てなくなり、意思が定まらなくなります。その結果心が慌
てて混乱する、誤った処置をするなどの状況になります。
受け止める人の心(精神)の状態により、その刺激をどのように受け止めたかによって、症状の出現に差が出てきますが、かなりの衝撃で受け止めてしまった場合は、病気にまで進行することもあります。
よくみられる七情から病への進行
それぞれの臓が病へと進行した場合、どのような病気になりやすいか例をあげてみます。
1、肝に影響すると
自律神経失調症、目のトラブル、月経不順、肝臓病、皮膚病など
2、心に影響すると
高血圧、心臓病、動脈硬化、慢性下痢など
3、脾に影響すると
糖尿病、胃腸障害、不正出血、貧血、低血圧、リウマチなど
4、肺に影響すると
喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎、結核など
5、腎に影響すると
神経痛、腎臓病、膀胱炎、脱毛、白髪、更年期障害など
七情による病への変化は、肝・心・脾の3つの臓が良く見られます。
自分が陥りやすい感情のクセを知って、病気へ移行しないように注意しましょう。
いつもの自分でいられるようにするには
少しの刺激でも心が乱れて体にも症状が出てきやすい人ほど、自分を強くする必要があります。
それには自然の力を借りることがお勧めです。
私たちは誰にも等しく太陽や月,そして大地からのエネルギーを頂くことができます。
自然はとてつもないパワーを持っています。ここからのエネルギーを利用しない手はありません。
加えて、どうしてもマイナスな方向に考えがちな方は、思考法を変えてみるという試みも効果的です。
1、自然からのエネルギーの頂き方
・朝日や夕日の優しい太陽の光を浴びるだけでも、心と身体が喜びます。
・芝生の上を裸足で歩いたり、大の字になって寝転ぶ。
・体にはなるべく自然由来の物をいれる。(漢方もココです)
・できるだけ気の合う仲間と過ごしたり、落ち着ける場所にいる。
2、肯定的な断言(アファメーション)をとりいれる
例えば不安感から眠れないという症状がある場合
「私は安心して明日を迎えます。私の将来は安定しています。」
などといった言葉を声を出して言ってみましょう。
慢性疾患で改善に時間がかかっていて、それもストレスというときは
「私の体は少しずつ変化しています。変化の過程を楽しんでいます。」
と言ってみてもいいですね。
自分を見失いそうになった時は、ぜひとりいれてみて下さい。