免疫力を上げるとはどういうことなのか
2020年は世界中が新型コロナウイルスに振り回されましたね。
感染予防の世界共通認識は、人との接触を減らすこと。
重症化予防は免疫力を上げるということ。
しかし、免疫力を上げると一言で言っても一体どういうことなのでしょうか。
それは、体に十分なエネルギーがあり、体の中に老廃物というゴミがなく、きれいな血液が体の隅々まで行き届いているということです。
いうまでもなく血液は、酸素や栄養を体中に運び、老廃物を回収します。
この状態をいつも滞りなく維持できていれば、様々な病気を寄せ付けません。
いつも体の中の「気・血・水」のバランスがとれていて、それぞれが巡っている状態を作り出すことが免疫を上げるということです。 単に何かを食べると良いとか悪いとかの問題ではありません。
そのためには皆が全く同じ方法というわけではなく、体質によって調整するということがとても大事です。
ということで、体質による免疫力アップの方法を紹介していきます。
目次
- ○ 自分の体質を知ろう
- ○ 7つにわけられる体質の特徴
- ○ 体質による養生法
- ○ 充実した人生を送るために
自分の体質を知ろう
巷で、ある食品が良いと聞けばすぐ飛びついたりする方も多いと思います。
それで調子が良くなる人もいれば、変化がないか悪くなる人も実際いるはずです。
そうなった時、この食品は自分には合わないと思いますよね。
中医学は個体差(体質)をとても重要視します。
まずは自分の体質をつかむことが大事です。気・血・水と臓腑が互いに影響し合って体質を作ります。
臓腑とは五臓の肝・心・脾・肺・腎、五腑の胆・小腸・胃・大腸・膀胱のこと。
そして体質に合った食品や漢方、注意すべきことを知るということが大切です。
体質はその人が持っている基本の体質がありますが、季節や環境によって変化することがありますので、時々チェックし直すことがお勧めです。
7つにわけられる体質の特徴
体質は7つに分けられますが、どんな人も一つだけではありません。
いくつかの体質をあわせもっています。
その中でも当てはまるところの多い2つあるいは3つくらいが自分の体質といえます。
それぞれの体質を見ていきましょう。
1.気虚タイプ
◇疲れやすい
◇風邪をひきやすい
◇息切れしやすい
◇冷え性
◇胃もたれしやすい
◇軟便・下痢をしやすい
◇頻尿・夜間尿がある
2.気滞タイプ
◇抑うつ・イライラ・怒りっぽい
◇生理前に胸が張ったり痛んだりする
◇お腹が張り、ゲップやガスが出やすい
◇下痢と便秘を繰り返す
◇よくため息をつく
◇生理の周期が遅れたり早まったりする
3.血虚タイプ
◇顔色が白く艶がない
◇めまいや立ちくらみがある
◇肌が乾燥する
◇髪がパサつき抜け毛や白髪が多い
◇不安感を感じやすい
◇動悸がする
◇足がつったり痙攣しやすい
◇生理の周期が遅れることが多い
4.瘀血タイプ
◇慢性的に頭痛や肩こり・関節痛がある
◇生理痛があり出血にレバー状の塊が混じる
◇顔色がどす黒く、シミ、目の下のくまが目立つ
◇下肢静脈瘤が目立つ
◇不整脈・胸苦しさがある
5.陰虚タイプ
◇手足や体がほてる、のぼせやすい
◇のどが渇く
◇寝汗をかく
◇皮膚や目・鼻・口が乾燥する
◇便秘または便が硬い
6.痰湿タイプ
◇むくみやすい
◇めまいと吐き気がよくする
◇コレステロールや中性脂肪が高い
◇体が重だるい
◇多嚢胞性卵巣症候群(pcos)がある
◇肥満・水太りである
◇肌が脂性、または吹き出物が出やすい
◇おりものが多い
7.陽虚タイプ
◇手足が冷たい
◇体が冷えてむくみやすい
◇頻尿である
◇冷えると疲労感がでる
◇月経周期が長い
体質による養生法
体質がわかったら、それぞれにふさわしい漢方や食品を選んで飲んだり食べたりすると良いでしょう。少しでも不調に気づいたら早めに手当てすることで病気にかかるのを未然に防ぐことができます。
それぞれのタイプにふさわしい食べ物。漢方は
1.気虚タイプ
とうもろこし、カボチャ、山芋、牛肉、鶏肉など
西洋人参、朝鮮人参、麦味参顆粒、補中益気湯
注意すべきこと:消化の悪い物を避ける、睡眠をしっかりとる
2.気滞タイプ
セロリ、セリ、春菊、柑橘類、ミントなど
逍遥顆粒
注意すべきこと:運動や人とのおしゃべり、カラオケなど気を発散させる
3.血虚タイプ
レバー、肉、牡蠣、うなぎ、ホウレンソウ、人参、黒ゴマ、なつめ、田七人参
婦宝当帰膠、帰脾湯
注意すべきこと:肉類をしっかりとる、就寝時刻は早めに
4.瘀血タイプ
ニンニク、玉ねぎ、いわし、さんま、黒きくらげ、黒豆、らっきょう、桃、田七人参
冠元顆粒、血府逐瘀湯
注意すべきこと:運動を日常化する、味の濃い物を避ける、冷やさないようにする
5.陰虚タイプ
トマト、レンコン、豚肉、豆腐、白きくらげ、梨、菊花
杞菊地黄丸
注意すべきこと:酸味と甘味の食材を一緒に取る、辛すぎ熱すぎるものはさける、汗のかきすぎ
6.痰湿タイプ
緑豆もやし、緑豆はるさめ、ごぼう、もずく、昆布、わかめ、きのこ、山楂子
温胆湯、竜胆瀉肝湯
注意すべきこと:体が冷えるタイプも熱いタイプも運動で余分な水分や脂肪を燃焼させる
7.陽虚タイプ
ニラ、クルミ、ニンニク、エビ、羊肉、ショウガ、シナモン、シベリア人参
参茸補血丸、八味地黄丸
注意すべきこと:夏でも冷たい飲食物はとらない、毎日お風呂に入って体を温める
充実した人生を送るために
何をするにも健康でなければできません。
若くて健康だと思っても、様々なストレスにさらされれば体調を崩し、やりたいこともできなくなってしまうかもしれません。
また、せっかくこれから自分の人生を楽しむ時期が来たと思っても、何か病気がみつかればあきらめざるを得ません。
私が中医学に興味をもったのは、自分の人生を充実させるためでした。
心も体も弱かった自分をもっと強くして、やりたいことを一つでも多くやって、中身の濃い人生にしたかったからでした。
特別中医学だけがというわけでもなく、良い物は何でも取り入れるという方針ですが、中医学の考え方は理解しやすいと思ったからです。
長年、何かの病気を抱えていたり、病気までいかないけれど調子が上がらないという方は多いのではないかと思います。
健康に関する考え方を日頃よく耳にするのとは少し違った方向から見た時、また別な結果が見えるということもあります。
自分の心身に向き合って、体と心の声を聴いてみましょう。
あなたの主治医はあなた自身ですからね。